納期遅延発生ゼロ・品質不良ゼロへ
“見える化”で起きた現場変革
黒川プレス工業株式会社 様
山形県米沢市大字花沢231-3
金属プレス加工
従業員数 45名
経営課題と導入の背景
── 当社に依頼をいただいた背景を教えてください。
「当社は長年、金属プレス加工業を営んできましたが、もともと導入している生産管理システムがあったものの、使い勝手が悪く工程の進捗がシステム上で把握できない、製造にかかる原価も出せない、それにより得意先に提示している見積金額が実際にかかる金額とバランスがとれているかもわかならい、という状況ことに課題を抱えていました。」
── その課題に対して、どのような解決策を模索されていましたか?
「最初は他のシステムも検討しましたが、システムに不慣れな従業員もいるため、PCだけでなくタブレットやスマートフォンなどで簡単に利用でき、難しい入力をしなくてもボタンを押すだけで業務報告ができるというのは、運用のハードルがとても低く大きなメリットでした。」
現場のみなさまの反応
── 導入してみて、現場のかたはどのような反応でしたか?
「導入当初は、現場から“手間が増えるのでは?”という懸念の声もありました。しかし、作業工程ごとの時間管理が簡単にできる仕組みを見て、次第に受け入れられていきました。シンプルな操作画面も、従業員にとって使いやすかったようです。
また、これまでは作業報告をメモしておいたものを1~2週間分まとめてPCで旧システムで入力していましたが、今は現場においてあるタブレットでボタンをポチポチするだけで作業報告ができます。」
── 現場で起きた具体的な変化について教えてください。
一番の変化は、作業効率に対する意識の向上です。これまでは、「受注に対して出荷日までに終わらせればいい」という意識が現場にあったため、「今日終わらなくても出荷日はまだ先だから」と現場判断で仕事を後回しにしてしまうことがありました。そうすると、出荷日ギリギリまで製造していることも多く、何かイレギュラーが起きると対応できず遅延してしまっていました。
各工程に納期を設定するオプション機能を追加したことで、自然と現場の意識も変わり、工程ごとに納期を意識するようになりました。その結果、余裕を持って製造がおわり、イレギュラーが起きても出荷日には間に合わせることができるようになりました。納期に対する意識が変わったことで、定期的な受注があるものは安全在庫として余分に作っておくようにもなり、納期遅れは全く起きなくなりました。
経営視点から見た導入効果
── 経営者として、導入後に感じた効果は何でしょうか?
一番大きいのは、納期遅延がなくなったことです。全体の工程が見えるようになったことで、スケジュールの調整もスムーズに行えるようになりました。
さらに、当初想定していなかった効果として、不良品の流出ゼロも達成できるようになりました。もちろん出荷日まで余裕ができたこともあるとは思いますが、社内のコミュニケーションが円滑になったことも、品質向上に大きく影響していると考えます。ポチを使うことで、管理課が何も言わずとも現場は自分たちで動けるようになり、指摘したりされたりすることがなくなりました。また、ポチを見れば何をすればいいかすぐわかりますし、誰が何をしているかもわかるので、確認しあう手間もなくなりました。
最近では、現場従業員が自発的に周りの仕事を手伝いにいってくれるようなことも見られるほどです。
あるいは、注残や遅延の原因工程が見えるようになり、これまで曖昧だったため起きていた責任の押し付け合いのようなものもなくなりました。
このようにコミュニケーションにおけるストレスがなくなったことで、自然と品質に目を向けられるようになったということだと捉えています。
── 経営判断においても変化はありましたか?
経営分析につながる精度の高いデータが蓄積されていき、これまで見えていなかった製造人件費の原価が可視化でき るようになった結果、実際の人件費原価をもとに親事業者へ労務費転嫁の価格交渉ができるようになり、実際に成功した例もすでにあります。反対に、人件費原価が見積金額より低い場合は、価格を下げて競争力を高めることもできます。このような経営判断にpochi A boosterは非常に強みになっていると感じています。
今後の展望と課題
── 今後、Pochi A Boosterをどのように活用していく予定ですか?
今後は、現場改善のPDCAサイクルをより強化していきたいと考えています。見える化された データを活用し、現場全体の生産性向上に取り組むことで、より高い競争力を持った企業を目指します。
── 最後に、他社へのメッセージがあればお願いします。
見える化は単なる管理ツールではなく、現場の意識を変えるきっかけになります。特に中小企業においては、限られたリソースの中でいかに効率化を図るかが重要です。Pochi A Boosterはその強力なサポートになると実感しています。
山形県米沢市大字花沢231-3
金属プレス加工
従業員数 45名
1969年に創業した黒川プレス工業株式会社様は、金型の設計製作から、順送プレス加工・単発プレス加工・スポット加工・タップ加工・カシメ加工と、金属プレスにまつわる付帯作業まで一貫して行っています。
各種精密スイッチ、車載電装品、カードメモリー、携帯電話、デジタルカメラ等の精密プレス加工品を幅広く製造しているだけでなく、紙やプラスチックなど異素材の抜き加工などにチャレンジするなど、熱意をもっ て革新し続けている会社です。
2003年に品質マネジメントシステムの国際規格であるISO9001を認証取得し、品質第一優先で日々継続的に改善活動を積み重ねています。
また、2017年には、中小企業庁のITサービス導入や経営資源の有効活用等による生産性向上、積極的な海外展開やインバウンド需要の取り込み、多様な人材活用や円滑な事業継承など、さまざまな分野で活躍する中小企業・小規模事業者として『はばたく中小企業・小規模事業者300社』に選出されています。